
“廃棄物業界のウーバー”が躍進。1,170万ドルの資金援助

2015年に設立されたニューヨークのスタートアップRTS(Recycle Truck Systems)は、廃棄物処理のIT企業である。彼らはスマートフォンを使って廃棄物ビジネスに革命を起こしている。
廃棄物業界は、その市場規模の大きさとは裏腹に、IT業界と無縁であったが、その様相は変わりつつある。
すでに、アトランタに本拠地を置く設立9年のスタートアップRubicon Globalは、廃棄物業界大手からシェアを奪い、ユニコーン企業(企業価値10億ドル以上)となった。
RTSも、すでにWholeFoodsやWeWork、SoulCycleと複数年契約を結んでいる。
彼らのビジネスを簡単にまとめると、
・排出事業者はアプリを通してゴミの収集をタイムリーに注文できる。
・すでに道路を走っている収集車のアプリに排出者の注文が受信され、近くを走る収集車がごみを収集する。
・生ごみから粗大ゴミまで対応しており、収集後のリサイクルソリューションまで提供している。
廃棄物ビジネスとはいえ、あくまでも事業はアプリの開発と提供である。従って、RTSはトラックを保有しておらず、アプリを媒体として中小規模や個人のドライバーに彼らがこれまで出会うことがなかったビジネスチャンスを提供している。まさに、”廃棄物業界のウーバー”であり、収集運搬業者が飽和し、混沌としているNYの廃棄物市場もRTSには好機なのである。この仕組みで、RTSはリスクの低いアセットライト企業として投資家からも注目を浴び、1,170万ドルの融資を獲得した。
RTSの共同創業者でありCEOのGregory Lettieri氏は、記事の中のインタビューでこう語る。
「我々は、従来の廃棄物業者と共存できる。だが、そうする理由はないと思っている。廃棄物業界を変えるためには、ごみ処理のすべてのフローを掌握する必要がある。そのために、真っ正面から競業他社と向き合い、打ち負かすつもりだ。」
かつて世界最大の埋め立て地であったStaten Islandで育ったGregory Lettieri氏の、廃棄物業界変革への想いは人一倍である。
RTSは次の舞台として、市場規模900億ドルとも言われる中古品市場に着目しており、分別技術の向上に注力している。
彼らの今後の動向に注目である。