RECOTECHコラム「アジアのごみ問題」

 東南アジアを中心に発展途上国、新興国などにおいてJICAや環境省など様々な助成を活用した環境技術輸出への取り組みを見聞きします。弊社も現在、インドネシア共和国バリ島での一般ごみ分散型処理事業の実証事業に取り組んでいるところです。しかし多くの事業が日本との事情の違いにおいて事業化の難しさに直面し、撤退するというケースが多いようです。大きな理由にティッピングフィー(処理費)がないこと(極端に安いこと)や分別回収の難しさなどがあるのではないでしょうか。この背景には経済成長を優先課題とする新興国にとって環境対策とくにごみ対策への対応が優先順位として低いことがあると言えます。やはり生活インフラであるごみ問題は政治の意思決定が大きく影響してくる分野だからではないでしょうか。では、海外展開はまだ時期尚早かと言えば、そうではないと思っています。
 
 日本では1956年に水俣病が正式に確認され、その後公害対策基本法が公布されるなどし、1971年に環境庁が新設されます。その後の再編で2001年に環境省が発足しています。水俣病から約60年の間にいっきに環境(公害)行政が進展し、それと同時に廃棄物ビジネスも様々拡大して行きました。現在アジアでは残念ながら全く同じ状況と言えるでしょう。環境問題というより公害対策というフェーズです。特に都市部においては悪臭、不衛生による病気など生活に支障をきたす段階にきています。インドネシアにおいて大統領令にてごみ問題への取り組みを指示し、フィリピンでは同国有数の観光地を一時立ち入り禁止する措置まで起こっています。経済活動のサプライチェーンの中で静脈と言われる部分にコストをかける必要があることに多くの人が気づき声を上げています。水俣病や様々な公害病に苦しんだ日本が、こういった中で経験や技術、ノウハウを提供することで大いに貢献し、さらにはビジネスチャンスとすることができると思っています。

 私たちは、しくみとテクノロジーを組み合わせ小さなモデルケースを作ることにフォーカスしています。まずは実際に見せて多くの方に理解を得ることまた、様々な宗教や民族の人が暮らす場所ではごみの組成が異なるケースもあります。地域ごとにカスタマイズできる処理方法も必要かもしれません。もちろん大都市には大規模な処理施設が必要だと思われます。今のうちから地域に根ざし実績とノウハウを蓄積することが大事ではないでしょうか。日本のごみ処理技術やしくみが持続可能な東南アジアの経済発展を支えていく重要な役割を果たすものと思っています。

野崎


*本記事に掲載している写真と本文は関係がありません

この記事を書いた人

THINK WASTE 編集部

こんにちは、THINK WASTE編集部です。ご覧いただき誠に有難うございます。国内外のリサイクルの取組事例や再生可能エネルギー技術、資源循環型社会構想など、先進的な廃棄物利活用に関する情報をお届けいたします。