インドのリサイクル・循環経済産業に投資家の注目が集まる

中国に続き、インド経済は世界の海洋プラスチック問題の非常に大きな一因となっている。同地域のリサイクルと廃棄物管理セクターが未発達であることから、こうした重要な規制がインドのリサイクルセクターへの投資機会にどのような影響をもたらすかについて詳細に調べる価値はある。幸いなことに、投資家はインドのリサイクル業界への投資機会に楽観的な視点を持つことができる。その理由は次の5つだ。

<1.リサイクルを発展させることに政界が積極的>
インド政府は、プラスチックごみを削減・管理するためプラスチック廃棄物管理規則2018を導入した。この規則の鍵となる一つの特徴は、拡大生産者責任(EPR)を導入したことだ。製造業者はEPRの下で、製品の使用期間終了後に自社が製造した製品を回収し、処理する責任を負う。

インドでは国政の下「スワチ・バラト運動(Swachh Bharat Mission/きれいなインド運動)」を固く確約しており、ERPを確実に順守させるため国レベルで責任者を設けている。また違反者には、事業許可の剥奪など厳しい罰則が課せられる可能性がある。実施についてはまだ混乱と矛盾が存在するものの、こうした政策により大きな投資機会の土台が作られてきた。

<2.すぐに実施可能なプロジェクトが存在する>
インドのリサイクルセクターには、すぐに取り掛かることができ、拡大の準備ができているプロジェクトが存在する。しかしこうしたプロジェクトは、資本にアクセスできない状態にある。こうした事業は、これまで誰も投資してこなかったもの、あるいは投資することさえ考えてこなかったものだ。

私が先日取材したあるリサイクルのスタートアップは、6行ほどの銀行と交渉していた。しかし銀行は廃棄物について理解していないため、同社は事業拡大に必要な融資を得られないでいる。こうした財務面の障壁を解消する触媒資本(ポジティブな影響を与えるため通常の投資と比べて過度に大きなリスクや少ない利益を受け入れる投資)は市場を成長させる重要な要素であり、投資家には魅力的な機会となるはずだ。

<3.インド経済の特徴が長期的な繁栄の鍵となる>
巨大な規模と強い起業文化を代表とするインド経済の特徴は、リサイクルと廃棄物管理セクターを長期的に繁栄させる役に立つだろう。インドはこうしたセクターへの投資において、非常に多くの機会を提示している。

同地域のマレーシアなどの国と違い、インドのリサイクルセクターは輸出入に頼る必要がない。インドにはリサイクル分野で独自のエコシステムがあり、全てを国内で管理できる。インドのプラスチック廃棄物の輸入量は非常に少なく、2018年度は約4万8000トンだった。中国の廃棄物輸入禁止の影響を受けたのがインドの一部の地域に限定され、全国的な影響がなかった理由は、インドの輸入の絶対量が少ないことと、国内で部分的な輸入禁止令が実施されていたことにあるかもしれない。

<4.PETのリサイクルが非常にうまく機能している>
インドにおけるPETのリサイクルは非常にうまく機能している。インドでは、収集から服や布地を作るところまで全てのバリューチェーン(価値連鎖)が整備されていて、関係者はプロセスの全ての部分で金を稼いでいる。そのため、一部の地域のリサイクル率は世界でも最高レベルだ。複数の報告書によると、インドの全国レベルのPETリサイクル率は、欧州の48%や米国の31%よりはるかに高く、なんと90%に達するとされている。

<5.多角的な投資の機会が存在する>
賢い投資家は扇情的な投資機会に飛び付かない。他の商品相場と同様、インドのリサイクル業界の一部は変動することを予期しておくべきだ。商品企業には多くの圧力がかかるため、業界の中でうまく機能していないセグメントを見つけるのは簡単だ。

投資の観点から見てリサイクルの良い点は、プラスチックが下がっているときにアルミニウムや廃棄物など他の資材が上がることだ。またインドでは、バリューチェーンの一つの部分に過剰に頼る企業もある一方、うまく多角化させた企業も存在する。

廃棄物輸入禁止の方針が、インドのリサイクルセクターの一部に影響を与えたことは間違いない。埋め立て地でごみを収集するインドの廃棄物収集者らの暮らしは特にそうだろう。しかしインドのリサイクル業界は、輸出入量が減ったとしても全体として前進を続ける上で良い条件を備えている。

このセクターが進歩すれば、こうしたごみ収集者の置かれた状況も最終的に改善するはずだ。インドのリサイクルセクターの拡大を目指す中、私たちが抱えるより広範な課題は、廃棄物収集者がより高い尊厳や健康状態を持ち、より良い労働環境の中で働き生きていけるよう、その生活の質を改善するようなより形式化されたシステムへと進化させることだ。インドでは、この目標の達成を支援するためのリソースと安全装置を提供できるリサイクル生活協同組合が既にいくつか存在している。

※写真はイメージ

【引用サイト】投資するなら今 インドのリサイクルと循環経済に期待できる理由


この記事を書いた人

THINK WASTE 編集部

こんにちは、THINK WASTE編集部です。ご覧いただき誠に有難うございます。国内外のリサイクルの取組事例や再生可能エネルギー技術、資源循環型社会構想など、先進的な廃棄物利活用に関する情報をお届けいたします。