中国の環境規制が日本の古紙のリサイクルシステムを揺さぶっている。日本の古紙を大量に受け入れてきた中国が廃棄物輸入ゼロを掲げて輸入を制限。行き場を失った古紙が国内にあふれている。模索する東南アジアへの販路開拓も容易ではない。世界的に景気が減速し始めるなか、輸出を前提とした資源リサイクルは岐路を迎えている。

「もう置く場所がない」。古紙卸、栗原紙材(東京・荒川)の新田事業所(群馬県太田市)には段ボールなど古紙1トンを圧縮・梱包した山3千本が並ぶ。通常の6倍の量だ。倉庫に入りきらず5月から「野積み」も始めた。東日本大震災があった2011年以来だ。

国内古紙卸と製紙会社の段ボール古紙などの合計在庫能力は145万トンとされるが、「9割近くに達している」(古紙卸幹部)。関東の古紙問屋で構成する関東製紙原料直納商工組合(東京・台東)の9月時点の段ボール在庫量も3万3千トンと前年比3倍弱に膨れあがっている。

在庫増の最大の理由は中国が18年6月、20年末までに固形廃棄物の輸入をゼロにする目標を打ち出し、輸入を絞り始めたことだ。18年の日本の古紙輸出380万トンのうち、中国向けは274万トンと7割を占める。古紙再生促進センター(東京・中央)が集計する国内の総回収量の13%を中国が吸収していた計算だ。

古紙は00年ごろから、回収量が国内再利用量を上回る状況が続く。企業や住民のリサイクル意識の高まりや自治体の積極的な回収など地道な取り組みの結果だ。国内で使い切れない分は輸出することで再循環の仕組みを維持してきた。

足元、国内製紙各社も輸出価格より高値で古紙を買い支えるが、「輸出低迷が続き、国内製紙各社の買値も引き下げられれば古紙回収システムは崩壊しかねない」(紙専門商社幹部)。

古紙問屋や商社は東南アジアなど中国以外の輸出先開拓を急ぐ。だがインドネシアなどでも中国同様に環境規制は強まっており、輸出量を増やせるかは不透明だ。

輸出価格も下落が止まらない。輸出が好調だった18年秋に一時1キロ30円を超えた価格は現在5円程度まで下落。国内在庫を減らすために赤字輸出を余儀なくされている。関東商組も不採算で6カ月連続で輸出を見送っている。

国内ではインターネット通販の普及で配送用の段ボール需要は増えているが、主な用途は青果物や飲料用。それだけであり余った古紙を吸収しきれるわけではない。米中摩擦の影響で自動車部品などを梱包・輸送する段ボールの需要も顕著に陰っており、在庫を減らせる要素が減っている。

折あしく台風19号など相次ぐ災害の影響で国内青果物の出荷が滞り、段ボール原紙用の需要は鈍い。一方、供給が減った野菜を中国産など輸入青果物で補った結果、海外製の梱包用段ボールも古紙となって増えている。

段ボールの古紙価格は年初から4割以上安い1キロ6.5円まで下落。採算の悪化で回収を見送る業者が出てきたほか、「関東や中部の中堅中小では一部ロットで逆有償も出始めている」(古紙問屋幹部)。

価格下落で自治体からの回収報奨金が減る地域があるほか、住民による集団回収をやめる動きも出ている。古紙問屋幹部は「ごみにすれば自治体のごみ処理費用がさらに増える」と警鐘を鳴らしている。

【引用サイト】中国の環境規制、古紙リサイクルに打撃


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THINK WASTE 編集部

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