【海洋プラについての最新予測】社会システムの変革が必須

 アメリカの非営利団体「ピュー慈善信託」とイギリスの環境シンクタンク「システミック」が2年かけてまとめた報告書によると、海洋プラスチックごみの年間流出量は2040年には2900万トン(2016年に比べて約3倍、現在の2倍に匹敵)になるとの最新の予測が発表された。この数字は、これまで世界が取り組んできたプラスチック削減策がいかにうまく行っていないかを浮き彫りにすると同時に、流出するプラスチックの量を大幅に削減するための大胆な計画を提示している。

 報告書では、2020年から2040年の間のプラスチック汚染について、下記5つの対策をとった場合、それぞれのシナリオでの汚染量と経済的コストをモデリングしている。

①BAU:Business as usual(今まで通り)
②CDS:Collect and Dispose(回収、焼却)
③RES:Recycle(リサイクル促進)
④RSS:Reduce and Substitute(使用量の削減または素材の代替)
⑤SCS:Sysetm Change(社会システム変革)

自然界へ流入するプラスチック量の推移(年間)

この調査過程で明らかになったのは、海洋のプラスチック汚染は特に、

①プラスチックの全重量 
②回収率 
③管理・非管理廃棄物の割合

に影響するということだ。また、特記すべき点は、現在策定されているプラ汚染解決の施策は、完全に実行されたとしても現在の6.6%しか海洋・大陸でのプラ汚染を減らすことができない(2040年予測値から7.7%減)という点だ。グラフからも明らかなように、消費前後(シナリオ②〜④)に介入することで流出するプラスチックの量を減らすことはできるが、プラスチック問題を十分に解決することはできない。より大きなスケールでの問題解決(シナリオ⑤ 社会システム変革)に向ける動きが必要なのだ。

 コスト面についても、シナリオごとに①現状維持と比べて20%のコスト増の幅があるが、社会システム変革シナリオが一番コストが低く(シナリオ①と比べ18%減)、②回収・焼却シナリオで一番コストが高かった。社会システム変革シナリオ下では、リサイクルを経済的に難しくするプラの生産が19Mt 減り、それによる廃棄物処理費用増加の相殺が可能になると共に、リサイクルによって利益が出る仕組み(製品の再デザインやリサイクルの経済性の改善)が構築される想定だ。

 報告書は今後の課題として、下記の点を挙げた。
■ 低価値のプラ回収の58%は低所得層の”waste picker” (インフォーマル)により回収されているため、低価値プラ回収に対する経済的インセンティブが必要(投資やごみ回収・分別・管理の法整備)
■ 全てのシナリオで単純焼却のもたらす害が課題として残る
■ データ不足(特にグローバルサウスのインフォーマルセクターでのデータ不足)。
 ※社会的・経済的インセンティブ与え、プラスチック問題を解決策するための政策をデザインするのには、利益・コスト・プラスチック利用の外部性についてのより完全なデータが必要。

最後に、この調査を通して現在の知識と技術で78%のプラ汚染問題は解決でき、しかも通常通りの廃棄物処理システムでの運用を続ける場合よりも低コストで実現可能であることが分かった。社会システム変革シナリオでさえもプラスチックの問題は残ってしまうが、一刻も早い企業、政府、国際社会の抜本的なコミットメントが必要である。

【引用元】
 https://science.sciencemag.org/content/369/6510/1455

※本記事に掲載している写真と本文は関係がありません


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THINK WASTE 編集部

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