カナダ人研究者、PETリサイクルの新技術開発

メーカー企業の貢献と消費者意識の高まりが追い風となり、プラスチックごみリサイクルの新たな技術革新が世界中で勢いをましている。カナダ人研究者サマンサ・アンダーソン氏がスイスで立ち上げた企業もその1つだ。重工業地帯が広がるヴァレー州は、20年にわたり環境を汚染してきた過去の産業と完全に決別するために多額の投資を行ってきた。2015年には連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の分校が「エナジーポリス」の敷地内に設立され、産業と研究が融合するイノベーションエコシステムの構築が加速した。プラスチックをリサイクルするための新技術開発を目指すカナダ人科学者、サマンサ・アンダーソン氏(33)は企業の立ち上げにこのヴァレー州を選んだ。

「解重合」とは溶剤を使ってPETに含まれる化合物をエチレングリコール(液体)とテレフタル酸(粉末)に分解する行程のことで、これらの物質は元の素材と同じプラスチックの製造に再利用できる。アンダーソン氏は研究仲間のバルディア・ヴァリザデ氏とクリストファー・アイルランド氏と2人と協力し、スタートアップ企業「デボリー(DePoly)」を設立し、2年以内に年間やく1万トンのPETを処理できる最初の解重合工場の立ち上げを目指す。目標の達成には500万〜750万フラン(6〜9億円)の資金調達が必要だ。デボリーはスイスで数十社あるプラスチックに関するスタートアップ企業の中で専門家の間でも最も有望な企業の1つとされ、創立初年度に100万フランを調達している。

地球環境問題の解決に繋がるとされる技術を扱う企業や研究機関の発展を支援するネットワーク「クリンテックアルプス」のエリック・プラン氏は、従来のPETリサイクルと比べ、デボリーが開発した技術は特に興味深い点が3点あるという。

 1、常温で処理が行われるためエネルギーをほとんど使用しない点
 2、使用する溶剤がリサイクル可能である点 
 3、あらゆる種類のPET(他のプラスチックが混ざっていても)を前処理や洗浄なしにダイレクトに破砕処理できる点

同社のデータによると、この処理方法ではヴァージン材から新しくPETを1トン製造する場合と比較して約7,000リットルの石油を節約でき、製造に必要なエネルギーも3分の2に減らせる。アンダーソン氏らは今後、PET以外のプラスチックのリサイクルにも取り組む方針だ。


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THINK WASTE 編集部

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