【夏季特別記事】包装資材における拡大生産者責任(前編)

エレン・マッカーサー財団のEPR(拡大生産者責任)の重要性を訴える声明に100社以上が賛同 前編:なぜ拡大生産者責任が重要なのか?

◆はじめに
EPRとは、製造者に製品に関わる全てのライフスタイルに対する責任、とりわけ製品の回収・選別・リサイクルの段階に対する責任を課すことにより、製品によって生じる総合的な環境負荷の低減を目指す環境保全における戦略である。これらの機能は、廃棄物処理の責任を、自治体から生産者に移転することができる点で重要である。

イギリスのエレンマッカーサー財団は、EPR(拡大生産者責任)の重要性を訴える声明を発表し、100以上にも及ぶ企業・組織が賛同した。ポジションペーパー「拡大生産者責任-包装材の廃棄と汚染に対する解決策に必要なもの」では、包装材の効果的な回収・選別・リサイクルを経済的に実現するために、EPRが必要な理由が記載されている。

本声明には、大手ブランドや小売業者(バイヤスドルフ、ダノン、ディアジオ、フェレロ、H&M、ヘンケル、インディテックス、ロレアル、マース、モンディ、ネスレ、ペプシコ、ピック・アンド・ペイ、レキット、シュワルツ・グループ、コカ・コーラ、ユニリーバ、ウォルマートなど)、メーカーやリサイクル業者(Borealis、Berry Global、DS Smith、Mondi、Tetra Pak、Indorama Ventures、Veoliaなど)、投資家(European Investment Bank、Closed Loop Partnersなど)、NGO(WWF、The Recycling Partnership、The Pew Charitable Trusts、As You Sowなど)が署名している。

◆背景
包装材の廃棄と汚染は、世界的に大きな問題となっている。例えば、プラスチックの包装材の場合、世界でリサイクルのために回収されているのはわずか14%。その内、3分の1は環境中に廃棄され、半分以上が埋め立てや焼却によって処理されている。

「BREAK THE PLASTICS WAVE」の調査によると、プラスチック包装材の回収・選別・リサイクルの純費用※1は、世界全体で年間数百億ドルにも上り、これはリサイクル材を販売することで得られる収入よりも大きく、経済的な問題は解決されていない。
家庭用プラスチック包装材の回収・選別・リサイクルの規模拡大と運営、およびリサイクルが不可能な場合の廃棄・安全処理の純費用をカバーするためには、年間推定300億米ドル(約3兆3000億円)が必要だ。全ての包装材(紙、ガラス、金属など)を対象にすると、コストはさらに高くなる。

献身的かつ継続的で十分な資金を提供するための唯一の方法であるEPR制度により、包装材を市場に出す企業は、使用後のパッケージの回収・選別・リサイクルの費用を負担することが求められる。経済性は包装設計の改善、技術の進歩によって大幅に改善することができるが、回収・選別・リサイクルの規模を拡大し運営するための資金を確保するための仕組みが必要だ。

※1…「回収・選別・リサイクルの純費用」とは、それぞれ3つの活動の総費用から、リサイクル材(有機物リサイクルの場合は堆肥)の販売による収入を差し引いたものを指す

2015年の世界のプラスチック包装材の流れ:現在、世界では約20億人の人々が組織的な廃棄物収集サービスを受けられていないと推定

◆EPRの有用性
本声明に署名することで、賛同企業はEPRの必要性を認識し、3つの確固たるコミットメントを行う。

①組織全体がこの声明に沿った行動をとるようにすること。
②政府やその他の利害関係者との関わりにおいて建設的であること。つまり、適切に設計されたEPR政策の確立を提唱し、地域の状況に合わせてEPRスキームを実施し、継続的に改善する方法を検討する上で支援すること。
③同業他社や、EPR関連団体や各種機関と連携し、それぞれの立場や行動を一致させるよう努力すること。

包装材のEPRを支持する政治的機運は、世界的に高まっており、過去3年間に、いくつかの国でEPRの義務化が導入され、そのための立法手続きが始まっている。南アフリカ、チリ、コロンビア、ケニアなどの国では、既に全ての種類の包装材に対してEPRの法律が採用されている。ベトナムはEPRに関する最初の法的枠組みを採用しており、インドはプラスチック包装材に関する国内EPR法を導入している。
また、ニュージーランドやエクアドルなど、その他の国では、EPR法の導入や策定が進行中だ。ほぼ全ての加盟国が既に有料のEPRを採用しているEUでは、現在、27の加盟国すべてが、2024年末までに、全ての種類の包装材を対象とし、EU廃棄物枠組み指令に記載されている最低要件に準拠したEPRシステムを確立することが求められている。

後編では、EPR導入の具体的な戦略を提示する。

後編へ続く


【引用元】
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THINK WASTE 編集部

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