PCR材の現状と課題(前編)

米国ヒューストンにオフィスを構えるIndependent Commodity Intelligence Services(ICIS)の代表者が行った分析によると、一般的にパッケージに使用される消費者向けのPCR材の供給は、主に食品接触用途の法的義務やブランドによる自主規制によって推進されている2025年の需要予測に対して不十分であることが明らかになった。

現状

2021年には世界で2,500以上の拠点で4,800万トンのメカニカルリサイクルが利用可能になると言われている。また、これらの拠点の平均能力は年間2万トンで、これは石油化学施設の生産量に匹敵する。

再生ポリエチレンテレフタレート(PET)と高密度ポリエチレン(HDPE)は世界市場の約40%を占めており、生産の大部分はアジア太平洋地域で行われ、次いでヨーロッパと北米が続く。アジアと北米でリサイクルされたPETの多くは繊維市場で使用され、ヨーロッパではシート用途が優勢であると、ICISのプラスチックリサイクル担当のシニアアナリスト、Leardini氏は述べる。

しかし、NAPCOR(全米PET容器資源協会)のデータによると、北米では、2020年に初めてボトル市場が繊維市場を追い越した。Leardini氏によると、2017年、リサイクルのために回収されたPETボトルのうち、ボトル市場に流れているのはわずか25%だったが、2020年には、その数は41%に増えた。

北米だけでなく世界的にも、プレミアム用途のPCR材の需要は高まっているが、投資不足がバリューチェーン全体を減速させている。

米国では、およそ270のメカニカルリサイクル工場で2021年では660万トンの再生PET、HDPE、ポリプロピレン(PP)を生産する能力があり、ほとんどの生産は再生HDPEである。PCR材の生産は、人口密度が高いことと、西海岸が伝統的にプラスチックスクラップを輸出していたことから、北東部に集中している。米国ポリマー市場全体に占めるリサイクル材のシェアは、2020年には12%になると推定されている。HDPEは米国で最もリサイクルされているプラスチックだが、HDPE市場全体の90パーセントはバージン材で占められているとLeardini氏は付け加える。

ケミカルリサイクルの出現

ケミカルリサイクルの分野で世界をリードする米国では、2021年に100万トンの能力があり、そのうちの15%が商業規模で稼動している。この技術はメカニカルリサイクルを補完するものであり、特に現在メカニカルリサイクルされていない原料の端材を使用できること、またアウトプットがバージン材とほぼ同じであることから、メカニカルリサイクルが直面する食品グレードの問題を回避することができるとされている。

「私たちはメカニカルリサイクルとケミカルリサイクルの共存を望んでいるが、業界はまだその方法を理解していないようだ。」と同じくICISのシニアマーケットエディターのFriedman氏は言う。「しかし、ビジネスの観点から言うと、ケミカルリサイクル業者は、メカニカルリサイクル業者が引き取るよりもはるかに安いコストで材料を必要としている。そのため、ケミカルリサイクルの世界では、加工可能な原料を見つけるのに苦労しているのだと思う。低コストでなおかつ使える材料を見つけるのに苦労しているのだ。」

Friedman氏はまた、ケミカルリサイクル会社がメカニカルリサイクル会社と提携して、廃棄物を引き取っていると聞いたことがあると付け加えた。「メカニカルリサイクル業者が自分たちの工程で使用できなかったものを、ケミカルリサイクル業者に渡しているのだ。」

今後3年から5年の間に、米国では500万トンのケミカルリサイクル能力が稼動すると予想されているが、これらの商品のすべてが必ずしもプラスチックのバリューチェーンに残るわけではないとLeardini氏は言う。「しかし、市場により多くのリサイクル量が必要な場合、メカニカルリサイクルを補完するケミカルリサイクルが必要になるだろう。」

後編へ続く。


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THINK WASTE 編集部

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