英国ガス大手5社、水素供給ネットワークの構築へ急進

 英国のガス大手5社(Cadent、National Grid、Northern Gas Networks、SGN、Wales & West Utilities)は、2020年11月のジョンソン朱装の重点政策を受けて天然ガスから水素へ、エネルギー転換を進める。

■「Britain’s Hydrogen Network Plan」
 2021年1月21日、5社は2030年までの水素供給計画「Britain’s Hydrogen Network plan」で、2023年までに供給する天然ガスに水素を最大20%まで混合させると発表した。また、2025年までに1GW、2030年までに5GWの水素・バイオメタン製造をする。5社のガス供給シェアを合計すると85%、ガス供給ネットワーク総延長は地球1.5周分に相当する。
 具体的には、大型車用の供給設備を整備する他、産業用の水素供給拠点を整備、再生可能エネルギーからの製造設備やCCS(CO2回収貯蔵)による化石燃料kらの製造設備を接続するという。さらに、ガス管を水素供給可能なものに変換する事業も含まれ、5社は総額280億ポンド(約4兆円)の投資を予定している。

■「Gas Goes Green」
 今回発表された「Britain’s Hydrogen Network Plan」は、2050年カーボンニュートラルを目標にガス供給インフラの再構築を含む投資の必要性や業界全体のアクションを促すことを目的に、イギリスのガス・電力ネットワーク団体が進める「Gas Goes Green」というプログラムの一環である。このプログラムでは、以下6つのテーマに取り組む。

 ・ネットゼロへの投資
 ・ガスの品質と安全性
 ・新たな消費規制
 ・システム強化
 ・水素への移行
 ・ネットゼロへの道

 特に「水素への移行」はイギリス国内で進めている他の水素関連プロジェクトなどと連携していくそうだ。

■「Hy4Heat」プログラム
 イギリスでは既に多く進められている水素関連プロジェクトの中に、英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)が2018年に産業界と共同で立ち上げた水素供給の研究プログラム「Hy4Heat」がある。このプログラムは、住宅や商業施設などに対して水素を安全に供給し利用できるようにすべく技術開発に取り組む。
 2020年の進捗報告書によると、企画や認証、安全性評価やメーター開発などの10分野での研究が進んでおり、産業用設備だけでなく家電の開発についても産業界から多くのメンバーが参加している。

■英グリーン・リカバリーの重点施策「10-point plan」
2020年11月、英ジョンソン首相はグリーン・リカバリーの重点政策として「10-point plan」を発表した。発表内容には、2030年までに水素供給能力を5GWに拡大し、電気とガスの供給を100%水素で賄う水素タウンの開発を目指すことが含まれ、これに最大5億ポンドの支援をすることが言及されている。今回のガス大手5社による「Britain’s Hydrogen Network Plan」はこの政策を受けたものだ。また、「10-point plan」では水素への移行に向けた以下の明確なマイルストーンを示している。

 ・2022年:水素ビジネスモデルの確率
 ・2023年:ガス供給ネットワークの中の水素含有量を20%へ引き上げること、地方の家庭における水素供給のトライアルを実施
 ・2030年:8,000人の雇用を創出
 ・2050年:10万人の雇用を創出
 
 これまで、水素ガスの教習にあたり、既存の天然ガスの供給インフラをそのまま利用することができないことが課題となっていたが、イギリスは新たなエネルギー源へのシフトを大きなビジネスチャンスとして捉え、こうした先進的かつ野心的な計画を進めている。


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THINK WASTE 編集部

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