自然を守る企業に投資呼び込む、情報開示タスクフォースが発足

2021年6月に英国で開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、「2030自然協約」が採択された。生物多様性が失われている中で、30年までに自然の損失を反転し、世界の資金の流れを「ネイチャー・ネガティブ」から「ネイチャー・ポジティブ」に変えるため、企業が自然関連リスクを報告し行動する為の枠組みを作る。

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「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」は、「気候関連の財務開示に関するタスクフォース(TCFD)」が、気候変動の分野での情報開示フレームワーク構築に成功したことを受け、より幅広く自然環境全体に関する情報開示フレームワークの確立を目指している。TCFDが、G20からの指示を受け、金融安定理事会(FSB)内のイニシアチブとして政府主導で発足したことに対して、TNFDは完全に民間主導で立ち上がった。

TNFD設立を主導しているのは、国連開発計画(UNDP)と国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)、世界自然保護基金(WWF)、英環境NGOグローバルキャノピーだ。世界経済フォーラムは、世界の総GDPの約44兆ドル(約4850兆円)が自然に依存していると指摘し、海洋プラスチック問題や新型コロナウイルスなど自然に関わる新たなリスクの出現もTNFD発足を後押しした。金融機関がリスクを把握することで資金の流れを作ることが期待できる。

日本企業においても、第一生命保険や三井住友信託銀行がそれぞれサステイナビリティに関する企業への融資を実施しており、日本企業へのエンゲージメントも始まった。ある住宅メーカーの担当者は、「欧州の運用会社とIRで話した際、『生物多様性担当』という専門家から細かな質問を受けた」と打ち明ける。日本企業もTNFD開示に備え、自社と自然との関係性を今一度洗い出してみる必要がある。

世界経済フォーラムによると、「ネイチャー・ポジティブ」な社会に変える為の行動は、2030年までに年間10.1兆米ドル(約1105兆円)のビジネス価値を生み出し、3億9500万人の雇用を創出する可能性があるとされている。TNFDの最終的な成果は、これらのリスクを可視化し、自然や人々にとってマイナスとなる資金の流れを減らすことで、世界経済の回復力を高めることだ。同時に、パリ協定・国際生物多様性条約・ポスト2020生物多様性目標・国連持続可能な開発目標に沿って、資金ギャップを埋める事が期待されている。

TNFD は、自然と生物多様性に与える負の影響を軽減するための意識と能力を高めることが期待されている。企業の自然への対応は、今後財務リスクとして金融機関の評価の指標となる。世界レベルでの自然資本への投資が未来へどのような影響を与えるのか、今後も注目だ。


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