【特集】これだけは知っておきたいCOP26(後編)

「【特集】これだけは知っておきたいCOP26」、前編に続き後編では「途上国への金銭的支援」と「市場メカニズム」について述べていく。

途上国への金銭的支援
気候変動対策における資金問題は長年の懸案であり、グラスゴーでも同様であった。途上国は、石炭などの化石燃料からの脱却を加速するよう求められているものの、そのための資金が不足しており、先進国が援助を怠っていると非難している。

2009年、先進国は途上国が排出量を削減し、気候危機の影響に対処するために、2020年から官民を問わず少なくとも年間1,000億ドル(約11兆円)の支援をすることに合意した。しかし、データが入手可能な最新の年である2019年には、800億ドル(約9兆円)にとどまり、未達成に終わった。

途上国はこの状況に憤りを感じており、それは今回の会議でも反映された。そして、今後5年間の資金調達額を5,000億ドル(約57兆円)にするために、今後5年間で増額することが約束された。ドイツのメルケル首相は2025年までに年間60億ユーロ(約8000億円)、英国は27年までに10億ポンド(約1,500億円)、米国は24年までに年間約114億ドル(1.3兆円)、そして日本の岸田文雄首相は今後の5年間で最大100億ドル(約1兆円)を追加支援すると表明した。

重要なのは、この資金を排出削減ではなく、適応策に充てることを求めているということだ。現状、気候変動対策資金のほとんどが中所得国における再生可能エネルギー計画などの排出削減プロジェクトに充てられている。しかし、これらのこれらのプロジェクトは利益を生むため、支援がなくても簡単に資金を調達できることが多い。一方で異常気象の影響に適応するために資金を最も必要としている最貧国では、全く資金を得ることができずに苦労してい状況がある。

先進国と途上国の信頼関係の構築は、世界の脱炭素達成に向け必要不可欠であり、先進国が今後いかに資金調達・運営を行うかが鍵になる。

パリ協定の市場メカニズム(国際排出枠取引ルール)
今回の会合において、パリ協定6条で規定されている国際排出量取引のルールが決定した。2013年以降に国連に届け出たデータを元に、先進国が途上国で取り組んだ温室効果ガスの排出削減分を双方で分ける仕組みだ。活用が進めば世界の排出量の3割弱の最大年間90億トンの削減効果が見込めるとの見解もある。

先進国が途上国で再生可能エネルギーや省エネ設備を途上国で導入することにより削減した排出量の一部を先進国の削減目標と相殺できる仕組みで、その割合は途上国と個別に決める。

ブラジルなどの新興・途上国は過去分の参入を希望しており、それに配慮した合意内容となった。新たに認められた排出枠は3億トンとなり、世界の排出量の約1%分になる推計があるが、過去の削減分を含めることにより今後の削減量が少なくなる為、先進国においては過去分の算入は目標に含めない方針だ。

日本においては、すでに6条の規定に沿って排出量削減に取り組んでおり、アジアなど17カ国の197事業での実績がある。今後の目標として、2030年までには官民で総事業費1兆円規模を投じて累計で1億トンの排出削減を掲げる。今回の合意は日本にとって良い後押しとなった。

前・後編と4つのテーマ「『1.5度』目標」、「石炭火力発電」、「途上国への金銭的支援」、「市場メカニズム」について述べてきた。COP26が幕を閉じ、来年エジプトで行われるCOP27まで各国がどのいかに真剣に取り組むかが大変注目される。
日本は金銭的な支援だけでなく、脱炭素化へ向けた具体的な政策や取り組みに期待される。


【引用元】
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THINK WASTE 編集部

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