家庭から出たペットボトルを再生事業者に譲渡する日本容器包装リサイクル協会(東京・港)の入札。9月に公表した2019年度下期の落札結果に「異変」が起きた。再生事業者が有償で引き取る廃ペットの価格が1キロ44.599円と、19年度上期より3.5円も高くなったのだ。

落札価格はポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂の価格にほぼ連動してきた。貿易統計のPET樹脂の輸入単価は7~9月が1キロ121円程度。年前半より8~10%ほど安い。世界経済の減速で需要の伸びが鈍りPET原料の価格が下がったためだ。だが日本の廃ペットは値上がりした。背景にあるのは再生ペット需要の急拡大だ。

サントリーホールディングスが30年までに全世界で使うペットをリサイクル素材や植物由来素材に切り替える方針を掲げるなど飲料各社は再生原料の利用を増やす。東レは廃ペットを原料に使う再生繊維の新ブランドを立ち上げた。投資家や消費者の視線もあり企業が国連の定めた持続可能な開発目標(SDGs)に沿う行動を急いでいる。

PETボトルリサイクル推進協議会(東京・中央)によると、18年度のペットボトル販売量は62万6千トン。一方、回収された廃ペットからボトルやシート、繊維、成形品などの原料とした「リサイクル率」は84.6%だった。10年間も8割台を維持し「リサイクルの優等生」ともいわれる。

とりわけ、市町村が回収する廃ペットはほとんどがキャップやラベルを分別済み。良質とされ、需要が集まりやすい。

需要の拡大をとらえ、生産能力を増強する動きも出てきた。台湾のペット大手と石塚硝子が出資する遠東石塚グリーンペット(茨城県境町)は、現工場の隣に約100億円で新工場を建設。再生ペットの生産能力を現在の年3万5千トンから20年には8万5千トンに引き上げる。安田真一社長は「22年の稼働を目指し、関西でも工場新設を検討している」と明かす。

協栄産業(栃木県小山市)は20年にグループ全体の生産能力の3割に相当する年2万トンを増設。飲料大手向けの再生ペットのほか、東レと組みペットから再生ポリエステル繊維を作る計画もある。エフピコも20年度には再生ペットの生産能力を18年度比2割増の6万トンにする計画だ。

回収率が高い廃ペットだが、実はペットボトルなどの再資源化のために一定量を輸出してきた。PETリサイクル協議会の推計では18年度の輸出量は21万1千トンと回収量全体の4割弱を占める。アジア各国の需要家でも再生ペットの利用拡大が進む。回収率と品質が高い日本の廃ペットへの引き合いが海外から強まれば、国内向けは供給不足に陥る懸念が強まる。

ある中国系再生ペットメーカーは日本の需要拡大を見越して、企業から出る「事業系」ペットを集めて洗浄・破砕加工した「フレーク」の生産拡大を検討し始めた。

一般的に再生合成樹脂は石油由来の新品より安い。だが再生ペットに限れば、旺盛な需要を背景に石油由来の新品より高値になる事例が起きた。協栄産業の古沢栄一社長は「高品質な再生ペットを使いたいという新しい市場ができた」と話す。

廃ペットを安定的に確保し、高レベルの再生ペットを供給できるか。生き残りをかけた激しい競争が始まりつつある。

【引用サイト】
「再循環の優等生」争奪戦 廃プラリサイクル 迫られる再構築(下)廃ペット値上がり、供給懸念も


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