段ボールや新聞など古紙のリサイクルに危機が迫っている。環境規制を強める中国への輸出が減り、古紙の価格も下落。採算の悪化で古紙回収が一時止まったり、引き取り業者が撤退したりする自治体が出てきた。古紙は回収率が8割を超え「リサイクルの優等生」といわれてきたが、回収網の維持が難しくなりつつある。

「古紙は出せません」――。2019年12月、横浜市港北区や鶴見区の住宅街に、こんな貼り紙が出された。町内会や自治会が古紙をリサイクルする「集団回収」による古紙収集を委託されていた事業者3社が撤退したため。両区の集団回収は一時的にストップした。

市の担当者は「古紙回収のヤード(保管場所)の1カ所が閉まり、持ち込み先がなくなったことが背景とみられる」(資源循環局)と説明する。撤退した地域では19年末以降、市が代わりに回収している。

群馬県太田市でも、古紙の回収業者1社が事業を停止する。市の担当者は「古紙の販売価格が下落しており、回収にかかる費用などと比べて割に合わないと感じている業者が多いようだ」(清掃事業課)とみる。

足元の古紙の価格は低迷している。代表的な段ボール古紙は、問屋の買い取り価格が1キロ5~6円で、1年前の半値に落ち込んだ。新聞古紙も約3割下がった。急ピッチな価格下落で、回収業者が人件費や燃料代などを賄えなくなりつつある。

古紙の価格が大きく下がった背景には、中国向け輸出の減少によるだぶつきがある。関東の古紙問屋で構成する関東製紙原料直納商工組合(東京・台東)の19年12月の古紙在庫(段ボール、新聞、雑誌の合計)は5万7000トンで、前年同月比で45%増えた。

中国は電子商取引(EC)の普及などで段ボール消費が拡大する一方、リサイクル網が未整備で、段ボール原料の古紙を輸入に頼っていた。ところが、古紙に含まれるごみを問題視した中国政府が19年に入り、国内の製紙会社に与える古紙の輸入枠を前の年比で4割削減した。古紙再生促進センター(東京・中央)によると、中国が19年1~11月に日本から輸入した古紙は、主力の段ボールで4割減の81万9000トン。輸入枠は20年も縮小する見通しだ。

古紙問屋は東南アジアに輸出を増やしているものの、中国の減少分は補いきれない。供給過剰と価格下落に危機感を強めた回収業者の業界団体、東京都資源回収事業協同組合(東京・千代田)は1月下旬に「非常事態」を宣言した。リサイクル網を維持するため、自治体に財政支援を求める。

同組合によると、古紙価格が下落した際、回収網を維持するために事業者に支払う支援金の増額制度があるのは、東京23区では8区にとどまるという。松本貞行理事長は「古紙の価格がここまで下がると、自治体の支援がなければ集団回収の存続は難しい」と訴える。

こうした実態を踏まえ、19年度から事業者への助成金を増額したのが千葉市だ。集団回収の場合、新聞は18年度までは1キログラムあたり3.4円だったが、同6.1円に引き上げ。紙パックは同5円から同8.9円に増やした。「事業者が回収できなくなれば、ごみの分別制度が維持できなくなる」(市収集業務課)

プラスチックごみも中国の輸入規制を受け、日本で滞留している。18年にリサイクルされず国内で埋め立てや焼却処理された「未利用」廃プラスチックは18年ぶりに増えた。国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」やESG(環境・社会・統治)が注目を集める一方、身近な古紙やプラスチックを再資源化するリサイクル網に影が差している。

【引用サイト】
古紙「リサイクルの優等生」に影 回収網の維持難しく


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