プラスチック循環を牽引するイノベーションの最新トレンド

プラスチックリサイクルに関する技術革新は他の素材と比べ格段に多い。特に最近のトレンドは熱分解やケミカルリサイクルであり、これらは持続可能なサーキュラーエコノミーの実現にとって欠かせない技術だ。これらに加え、様々なプラスチックの分解を可能にするスーパークリティカル水蒸気(supercritical steam)を用いたリサイクル方法やプラスチッククレジット制度などが導入され始め、プラスチック循環を加速させている。
この記事ではRecycling Product Newsの記事を元に、注目される取り組みを紹介する。

Honeywell
Honeywell(米)は、分子変換や熱分解、汚損物質管理などを活用したプラスチックアップサイクル技術を商品化したと発表した。Honeywellによれば、この技術を用いることで、これまでリサイクルが困難とされていた着色された複層包装フィルムやポリスチレンのリサイクルが可能になるという。また、このプロセスを用いることでバージン材と比べ、57%のCO2排出削減につながるという。ケミカル・マテリアルリサイクルと併用することで、世界のプラスチック廃棄物リサイクル量を90%向上させるポテンシャルがあると期待されている。

The Association of Plastic Recyclers(APR)
プラスチックリサイクル産業の国際的な貿易協会であるAPRは、世界的に需要の高まるプラスチックリサイクルにおいて、ケミカルリサイクルが効果的な方法として地位を確立するために必要な条件や段階について調査する研究会を発足した。
特に、従来のリサイクル方法を最も効率よく補完し、リサイクル産業全体でのケミカルリサイクルを成功させるためには何が必要かということを議論する。
APRの代表Steve Alexanderは、近年の企業によるプラスチックリサイクル推進の動きを受けた、ケミカルリサイクルに対する新たな調査や規制の強化などに対し、「プラスチックリサイクル産業の代表として政策決定者や消費者に向け、ケミカルリサイクルの抱える問題点や経済・環境に与える影響を明確にする責任がある」と述べている。

Mura and KBR
Mura(英)とKBR(米)が三菱ケミカルと結んだ合意により、Muraが開発し、KBRに独占的ライセンスがあるスーパークリティカル水蒸気を用いたプラスチックリサイクル技術-Hydro-PRT-が日本で導入される。Hydro-PRTはスーパークリティカル水蒸気を用いた独自技術の特許を取得しており、全種類のプラスチック廃棄物のリサイクルを可能にする。Muraは2050年までに100万トンの処理を目指す。

Evonik and Vita
Evonik(独)はこれまで培ったポリウレタン化学に関する専門知識を活かし、柔軟ポリウレタンフォームをポリオール原料に戻す、加水分解を用いたケミカルリサイクル手法を開発した。現在、特殊性の高い柔軟ポリウレタン製品を提供するThe Vita Group(英)とパートナーシップを結び、スケールアップ実証を行っており、3万トンの取扱量を目指す。すでにリサイクルポリウレタンの製品への使用実験も行われているという。Evonicの技術により、今後リサイクルポリオール材の使用が高まることが期待される。

Plastic Credit Exchange (PCX)
アメリカでプラスチッククレジット取引への注目が高まっている。もともと2019年にフィリピンで始まったプラスチッククレジット取引は、企業のプラスチックフットプリントを相殺するためにクレジットを購入できるプラットフォームで、昨年アメリカへの事業展開を発表した。参加企業はフィリピンに拠点を置く多国籍パートナーシップにも参加しており、自社のプラスチックフットプリントを相殺すると同時にサーキュラーエコノミーの促進を行っている。アメリカのプラスチック廃棄量は世界で最も多く、その廃棄物の半分以上が海外に輸出されており、フィリピンなどの開発途上国を危機的な状況に晒している。PCXのプログラムでは、プラスチック廃棄物の環境への流出を防ぐと同時に、プラスチック汚染が最も深刻な地域からプラスチック廃棄物を回収する事業者への経済的サポートを行っている。PCXは企業から支払われたクレジットをもとに、女性起業家を中心としたパートナーと協力し、プラスチック廃棄物の回収・輸送・処理を促進している。

Pyrowave
マイクロ波を用いたケミカルリサイクル技術を有し、ポスト・コンシューマー材やポスト・インダストリアル材のリサイクルを行うカナダのPryowaveは、ケベック州が資金を提供する起業家向けプログラム、ESSORから700万ドル(約6.4億円)の資金援助を受けたことを発表した。今回の資金援助はケベック州サラベリドバレーフィールドにある実験工場とマイクロウェーブ技術施設の拡大、さらには人員の確保と更なる研究のために投資される。この発表の前にはフランスに拠点を置くタイヤメーカー、ミシュランとの共同開発も発表している。
ケベック州労働組合が運営する開発資金基金Fonds de solidarité FTQからの投資も重なり、更なる技術開発や市場での地位確立、国際的なケミカルリサイクル市場での競争力の強化などが期待される。


【引用元】
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THINK WASTE 編集部

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