世界的の環境問題を引き起こしているプラスチックごみ(廃プラ)に対して、日本企業が横断的に削減に向けて動き出した。まず、味の素や資生堂などは共同でガラス容器を再利用する事業を今秋に始め、サントリーや花王は自治体との連携で廃プラを製品に使用するためにスクラムを組む。
味の素や資生堂などの日本企業13社は米テラサイクル(ニュージャージー州)の日本法人テラサイクルジャパン(横浜市)と共同で、プラスチック容器を何度もリユースできる容器に変えて再利用するプロジェクトであり、名称は「Loop(ループ)」で2020年秋から都内で実証実験を始める。
このループでは各社が金属やガラスなど耐久性が高く何度も使える容器に製品を入れ、消費者が商品を注文すると専用容器に入った商品が届き、使い終わった容器は配達員が回収し、それを洗浄してリユースする。
製品価格にはデポジットとして容器代を上乗せしており、消費者が容器を返却するとデポジット料金キックバックされる。米国ではプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や米小売業大手のクローガーなどが参加し、一部の地域でサービス提供が始まっている。
容器は各社が造るが各社のアイディアも活きる。たとえば味の素ではシンプルデザインの金属製の容器に変えるが、将来的には中身の残量を感知して自動で発注したり、調味料の使用量を自動で計測したりと、IoT関連の機能を付加する。
エステーは消臭剤の容器にガラスを使い、高級感を持たせる。米テラサイクルのトム・ザッキー最高経営責任者(CEO)は「環境に優しいという理由だけでなく、容器の見た目や利便性が消費者に評価されるようにしたい」とコメントしている。

企業と自治体とスクラムワークとしては、花王が「リサイクリエーション」の名称で洗剤やシャンプーの使用済みの詰め替えパックを回収しするにあたり、神奈川県鎌倉市や徳島県上勝町など複数の自治体と提携し、小中学校や駅前などに回収ボックスを設置して回収しており、すでに15年から始めており、これまでに合計で約25万枚、約4.5トンの詰め替えパックを回収した。回収した詰め替えパックはリサイクルされて、ベンチなどに組み立てるブロックとして生まれ変わっている。
サントリーホールディングス(HD)はペットボトルの回収とリサイクルに関する連携協定を大阪市と締結し、市内の一部地域の家庭から出る使用済みペットボトルをサントリーHDの委託企業が集めている。
日本ではごみ回収のルートが確立されており、海外と比べてリサイクルしやすい。サントリーHDとの提携した大阪市の対象地域の家庭では使用済みのペットボトルを洗い、キャップやラベルを外して専用の回収袋に入れて出してもらう。このためサントリーHDはリサイクルにかかるコストを抑えることが可能だ。
世界的なESG投資の広がりで機関投資家は企業に環境配慮の姿勢を求めるようになった。これを受け、高い環境目標を掲げる動きが広がっている。花王は25年までに再生樹脂の使用量を18年と比べて5倍に引き上げる。サントリーHDは30年までに販売するペットボトルの最大7割をリサイクル品に切り替える。

一方で、各社が掲げる10~20年後の目標を達成するには「確実にリサイクル原料が足りなくなる」(リサイクル業界関係者)のが実態だという。17年末に中国が廃プラの輸入規制に踏み切り、国内に滞留する廃プラの量は増えている。しかし各社の目標を積み上げると「それでもまだ不足する可能性が高い」との声が多い。
日本では海外の多くの国と比較して、ゴミの分別や回収ルートが明確であり、リサイクル原料が集めやすいため海外企業の進出も相次いでおり、19年末には中国系リサイクル企業が日本で業界団体を設立した。各社は世界の投資家の目も意識しながらリサイクル原料の確保に奔走している。廃プラに限らず近い将来にはリサイクル原料の「争奪戦」が起きることまで考えられる。


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THINK WASTE 編集部

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