NTTグループなど5社、農産物流通DXを用いて流通コストやフードロス削減へ

株式会社神明ホールディングス、東果大阪株式会社、日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、株式会社NTTアグリテクノロジーの5社は、農産物の流通にデジタルトランスフォーメーション(DX)を使用し、流通コストやフードロス、温室効果ガス削減などの環境問題の抑制に貢献することに合意し、その実現に向けた共同実験を開始した。サイバー空間上に仮想市場を構築し、デジタルツインコンピューティングと呼ばれる多様な産業とモノ・ヒトをデジタル上で自在に掛け合わせて演算を行うことにより、より高精度な未来の予測ができる技術が利用される。

■背景

農産物流通は生産者と購入者が直接取引を行う市場外流通に分類され、国産青果の約86%が市場流通で売買される。その為、市場流通は日本における農産物流通において重要な役割を果たしている。しかし、市場流通に関わるステークホルダー間での情報の共有が出来ていないため、生産者はまず農産物を都市部の大市場に輸送し、農産物が集まり過ぎた場合は価格の低下が起こる。そして、余った農産物は周辺の市場へ転送されるため、追加の輸送コストや鮮度低下が起こり非効率であると共に、地球環境にも負荷を与えている状態だ。また、昨今の働き方改革や個人宅配の急増により、ドライバー不足のため配送が困難になる状況も起こっている。このような問題点から、今後に向けて情報を軸にした効率の良い新しい形の物流の仕組みが必要とされている。

■取り組み内容

農産物流通DXは、仮想世界(サイバー空間)、現実世界(リアル空間)、フードバリューチェーンエクスチェンジの3つに分けられる。

1)仮想世界では、サイバー空間上に仮想市場を構築し、デジタルツインコンピューティングを使用した予測技術により仮想相対取引と仮想競りを行う。
仮想相対取引では、予測技術により卸売市場に集まる取引データや気象情報等の一般的な生産予測に加え、突発的なイベントやコロナ禍における消費動向の変化等の複雑に絡み合った要素から特徴を捉え、仮想空間上で買い手と売り手を結びづける。仮想競りでは、農産物の価値を決めるのに必要とされる品質(色、形、艶、糖度、酸度、リコピンなど)をできるだけ正確に数値化し、バイヤーがその都度直接訪問することなく遠隔地から農産物の良し悪しを判断し仕入れができる。

2)現実世界では、デジタルコンピューティングを用いた予測情報により、事前に労働者の確保をすることで労働面での効率化を計るとともに、昨今ニーズが急増している農産物の加工(カット・包装等)を行う加工工場を市場の近隣に設備する。

3)フードバリューチェーンエクスチェンジでは、リアル空間で集めた情報をサイバー空間にある仮想市場に送り、仮想市場で行われた予測や分析の結果を再びリアル空間へフィードバックする。

仮想世界と現実世界を融合することにより、フードバリューチェーンに関わる企業に様々な恩恵がもたらされる。生産者は需要に応じた農産物の生産を行い、物流コストを抑えつつ収益の安定化も狙える。卸売業者は計画的・効率的に人員配置を行うことができ、小売・消費者は得られた生産情報をもとにより鮮度の高い農産物を手に入れ、販売計画を立てることで安定した収入を得ることができるという。

農産物流通DXを通じて、フードバリューチェーン全体の最適化を行うことで温室効果ガスや廃棄物の削減を行い、環境問題の解決に向け貢献する。

図1予測技術の概要

引用元の記事より引用


*本記事に掲載している写真と本文は関係がありません

この記事を書いた人

THINK WASTE 編集部

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