【特集】これだけは知っておきたいCOP26(前編)

気候変動問題に対する国際会議COP26(国連気候変動枠組条約締約国会議)が、イギリス・グラスゴーで10月31日から11月13日の日程で行われた。これまでCOP会議は、具体的な温室効果ガス削減目標が示され、先進国には削減の義務付けが行われた京都議定書や、全世界での長期目標として「1.5度目標」・「2度目標」が掲げられたパリ協定がこれまでマイルストーンとなってきた。

COP26に先立ち、地球温暖化や気候変動に関する国際的なサミットや報告がいくつか行われた。2021年4月、米バイデン大統領主催の気候サミットが開催され、参加国が野心的な温室効果ガス削減目標を発表した。6月にはG7サミットが英国で開催され、気候・環境問題も積極的に議論された。8月、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が「人間活動が地球温暖化をもたらしていることに疑いの余地はない」と報告し、大きな反響をよんだ。

今回のグラスゴーCOP26ではこのような状況も鑑み、どのような合意に至るかが大変注目された。以下にCOP26の主な成果・合意点を簡潔にまとめ、各成果・合意点については前半で「『1.5度』目標」と「石炭火力発電」について、後半では「途上国への金銭的支援」と「市場メカニズム」について述べていく。

主な成果・合意点

  • 「1.5度」目標
    パリ協定を踏襲し「2度目標」に触れものの、1.5度に抑えた場合の方が気候変動の影響は格段に小さくなるとし、「1.5度」という削減目 標を強調した。そのために、各国の2030年までの排出削減目標を2022年末までに再度検討することが盛り込まれた。
  • 石炭火力発電について排出削減対策が講じられていない石炭火力発電や、非効率な化石燃料への補助金を段階的に削減 (phase down)していくことが合意された。
  • 途上国への金銭的支援2009年に合意した先進国から途上国への支援、年間1000億ドル(約11兆円)の目標を速やかに達成する必要性を明確にし、さらに追加の支援も言及された。
  • パリ協定の市場メカニズム2015年のパリ協定で決定された国際排出量取引を実施する為のルールが決定した。妥協案として2013年以降、国連に届け出たデータを元に2030年までの削減目標に加算できることとなった。

「1.5度」目標(Mitigation)
2015年に採択されたパリ協定において平均気温目標は「産業革命前に比べ平均気温の上昇を2度未満に抑え、1.5度を目指して努力すべき」とされていたが、グラスゴー気候合意においてはパリ協定を踏襲しながらも、「1.5度に抑えた場合の方が気候変動の影響は格段に小さくなり、そのためには2030年までに世界の二酸化炭素排出を2010年比で45%削減し、2050年あたりを目処に実質排出量0を目指さねければいけない」として、1.5度という目標を強調した。

加えて、この1.5度目標を達成するために各国は各国の削減目標(NDC)を2022年末までに必要であれば再度見直し、目標達成に向け強化する必要性を明確にした。2015年のパリ協定で定められたロードマップに沿ってNDCの見直しを行うと、次回は2025年になり、それでは1.5度目標の達成はかなり困難になる。現状、2030年までに各国がそれぞれの削減目標を達成したとしても、世界の平均気温は2.4 〜2.7度上がるとされており、各国に2030年までの目標設定の見直しを要求した形となった。インドが会期中に新たな自国の削減目標を発表したものの、それに続く国は出なかった。NDCの見直しについては次回のエジプト、そしてその後の課題なった。

今後これらの決定事項や目標に向けて、各国がどのような対応をするかが注目される。また、各国がより野心的な目標を発表するべきではないかという意見もありそうだが、NDCの見直しを5年後ではなく必要に応じて1年後にしたのは評価できる点だろう。しかし、共通の時間枠として温室効果ガスの削減目標を、2025年に2035年目標、2030年に2040年目標の発表を「推奨」となったことに関しては多くの環境NGOから落胆の色が伺える。

石炭火力発電について
今回のCOP26の最大の焦点の一つは石炭火力発電に対する対策だ。石炭火力発電は直接的に地球温暖化を引き起こしている原因である一方、特に途上国の多くの国が石炭火力を主要エネルギー供給元として使用しているため、今回どのような合意が得られるかに注目が集まった。議長国であるイギリスは、2030年までに排出削減対策が取られていない石炭火力や非効率な化石燃料への補助金は「段階的廃止」を目指すという文言を合意文章に盛り込んでいたが、インドなどの反対にあい、「段階的削減」という文言に差し替えられた。

当初の案より表現が弱められ、議長国イギリスを含む多くの国が残念に思う結果に見えるが、一方で世界の南北格差の問題や、石炭火力発電の削減を初めて明記したという点を加味するとある程度評価できる結果だと考えられる。

日本は依然石炭火力発電への依存度が高く、今後どのような対策を打ち出すのか世界が注目している。

後編へつづく


【引用元】
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THINK WASTE 編集部

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