米リサイクル材使用義務付けに対し、供給確保への懸念増す

米カリフォルニア州が2020年に可決した、来年施行されるプラスチック飲料容器に少なくとも15%のポストコンシューマー樹脂(PCR)の使用を義務付ける法律に対応するため、リサイクルサプライチェーン全体の関係者は、消費者使用済みのプラスチックの供給を増やす方法を模索している。

消費者ブランド協会(Consumer Brand Association)のカリフォルニア州担当シニアディレクターであるJohn Hewittは、業界団体の会員のほぼ過半数が、拡大するPCR材使用の義務化を達成するための材料の供給が大きな障害になることを懸念している。また、需要に応じてより迅速かつ効率的にリサイクルを行うためには、サプライチェーン全体の技術改善が必要になるだろうと述べた。

再生PETは、ランニングシャツやシューズのポリエステル繊維など、ボトル以外の消費財にも使用されている。消費者ブランド協会によると、PETプラスチックの回収は需要のペースに追いついておらず、飲料メーカーは再生PETをより高く買ってくれる他のメーカーとの競争にさらされている。

供給不足に気づいたのは飲料メーカーだけではなく、リサイクル業者も懸念している。

特に、カリフォルニア州のボトル交換場所が、土地や労働力の安い場所に集中していることを懸念している。ボトル交換場所がないと、ボトルは市中のリサイクルに回され、汚染された類にまとめられてしまうため、リサイクルの流れに戻って新しいボトルを作るために使われる可能性が低くなる。「ボトル法案が修正され、リサイクルセンターが増設されない限り、PCR材使用量の増加に対応するのは難しいだろう」とリサイクル業者Ming’s Recycling のDonlevy氏は語る。

同者はカリフォルニア州のリサイクル業界の関係者の一人であり、ペットボトルやその他のリサイクル可能なプラスチックの需要の増加に対応して、州のボトル交換プログラムを成功させるためには、大幅な変更が必要であろうと述べた。カリフォルニア州では、今年の議会終了までに十数本のリサイクル法案が可決されたが、議員たちはボトル交換制度の大幅な変更について合意に達することが出来なかった。

「一人当たり、あるいは特定の地域で、何個のリサイクルセンターを設置する必要があると言うような、プログラムの大規模な見直しが必要だ」とDonlevy氏は言う。

米国全体での懸念

政策が市場にどのような影響を与えるかを注視しているのはカリフォルニア州だけではなく、他の州も義務化の拡大を行っている。

Zero Waste Washingtonのエグゼクティブ・ディレクター、Healther Trim氏は、カリフォルニア州の報告書は、再生プラスチックの供給を促進するために、州、地域、そして国全体で再生プラスチックの需要を高める必要性を強調している。そして、「この法律の目的は、供給を確保し、循環型経済を実現することだ」と述べる。

ワシントン州では、来年からプラスチック製飲料容器にリサイクル素材を15%使用することを義務付ける。2025年には、すべての家庭用品とパーソナルケア用品に15%のリサイクル素材を使用することを義務付ける法案が提出される。その後、2031年には50%まで引き上げる予定だ。

ニュージャージー州は、独自の再生材含有率最低基準法案を検討している。今年提出された法案では、硬質プラスチック容器と飲料容器を対象に、3年ごとに最低基準値を引き上げ、2031年までに50%に達するようにする。

ワシントン州で再生材を使用する法律の制定を求めてキャンペーンを行ってきたTrim氏は、自分の州で勢いが増していることを実感していると言う。Break Free From Plastic Pollution Act(プラスチック汚染からの脱却法)などの連邦法案や、カリフォルニア州のような州法が、ワシントン州の議員たちの行動を促している。「ほんの2年前、3年前と比べても、連邦レベルでプラスチックやリサイクルに関する法案が大量に提出されている。こうした連邦政府の法案は、勢いをつけるという意味で、州レベルでも大いに役立っている。」

ワシントン州での取り組みは今後も継続する予定だ。2022年には、関係者で構成される委員会を設置し、再生材含有量の最低基準を設定できる可能性のある製品カテゴリーの追加を検討する予定だ。また、コネチカット州でも今年署名された新しい法律に基づき、同様のプロセスを踏むことになっている。

消費者ブランド協会は、特にワシントン州の法案は、各業者のリサイクル成分の構成をより大きく変化させる可能性が高いと述べている。飲料用プラスチック容器は、比較的地域的に生産されているが、シャンプーなどの消費材は複数の州にまたがる広い範囲で生産されているため、各業者は義務化を満たすために大きな変更を行う必要がある。「「私たちが懸念しているのは、必ずしも現在の15%というレベルではなく、その後の段階だ。市場のかなりの部分が、リサイクル素材を求めて競争しているというシナリオや状況を構築し始めている。」


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